エミール・ガレとその作品について教えてください。
エミール・ガレとその作品についてご紹介します。
フランスの至宝 エミール・ガレ
エミール・ガレは1846年、フランス北東部のナンシーで生まれました。
ガレの父はガラスと陶器を扱う商社を経営しており、ガレも早くからガラス製作の技術を学び、19歳のときにドイツでドイツ語とデザインの勉強をした後、ガラス工場でガラス製造の技術を習得しました。
その後、普仏戦争の兵役後、父に付いてイギリスを訪問。現在のヴィクトリア・アンド・アルバード美術館を見学し古代ガラスの魅力にとりつかれたガレは、パリ、イタリア、スイスを周り、美術館や植物園に訪れ見聞を広めた後、1875年頃から本格的な制作に取り組み始めました。
1878年のパリ万国博覧会で、陶器とガラス部門で銅賞を受賞。1889年のパリ万博ではガラス部門でグランプリを、そして陶器、家具部門でも金賞を受賞するなど、華々しい功績をあげたガレは、あらゆる学問に精通し、優れた経営者でもあった「フランスの至宝」と呼ぶにふさわしいアーティストです。
エミール・ガレの芸術
ガレが誕生した19世紀は、葛飾北斎などの日本の芸術が「ジャポニズム」としてヨーロッパの人々の心をつかんでいた時代でした。
1867年に開催されたパリ万博では日本の工芸品や浮世絵などの美術品が出品されており、花や植物などの有機的なモチーフや、自由な曲線の組み合わせが特徴の美術様式を指す「アール・ヌーヴォー」にも多大な影響を与えました。
ガレの芸術はジャポニスムや象徴主義、自然主義、博物学の成果など、時代の趨勢と深く関わりながら展開し、ガラス製品にアール・ヌーヴォーの様式を最初に取り入れるなど、独特の表現世界を確立していきました。
ガレの作品のなかでもっとも多く作られたのは、なんといってもガラス製品です。
植物や昆虫などの自然物のモチーフ、日本、中国など伝統的なモチーフ、黒いガラス地に天使や蝶などのモチーフを張り付けたものなど、多岐にわたるモチーフが扱われた数々のガラス製品は、ため息が出るほど美しく繊細でありながら、どことなく力強く、自由でユーモラスな雰囲気が特徴です。
また、作品に当てる光や、作品の裏からの光にかざして見ると色が変化するなど、見る角度やライティングによって、実に様々な表情を見せてくれることも魅力の一つで、現在も多くの人を魅了しています。
まとめ
ジャポニズムの影響をうけたエミール・ガレの作品は、日本人にも親しみやすく、国内にも多数のコレクターが存在します。
また、栃木県那須郡の「エミール ガレ美術館」や、神奈川県足柄下郡の「ポーラ美術館」などでその作品を目にすることができます。
各地の美術館で企画展が行われることもありますので、機会があれば鑑賞してみてはいかがでしょうか。