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【六古窯】独特な美しさを持つ常滑焼丨造形や色にとどまらない機能美を徹底解剖

常滑焼には、朱泥のあたたかな色合いや無釉焼締めの素朴な質感など、ほかのやきものとは少し違った独特の美しさがあります。見た目だけでなく、お茶をおいしくする急須の性能や、暮らしの道具としての使いやすさにも深く関わっています。

 

この記事では、六古窯のひとつである常滑焼の歴史を踏まえながら、造形・色合い・機能性が一体となった「常滑焼ならではの美しさ」を分かりやすく解説します。

 

常滑焼とは?六古窯に数えられる伝統と産地の概要

常滑焼(とこなめやき)は、愛知県常滑市周辺で作られてきた陶器で、日本を代表する「六古窯(ろっこよう)」のひとつに数えられます。六古窯とは、瀬戸・常滑・越前・信楽・丹波・備前の6つの産地の総称で、中世以前から窯業が続いてきた古い産地を指します。

 

常滑では平安時代後期頃から窯業が始まり、中世には壺や甕、すり鉢などの日用品を大量に生産しました。なかでも、中世の常滑は六古窯の中でも最大規模の窯場であったとされ、多数の窯跡が見つかっています。

 

現代の常滑焼は、朱泥急須や壺・甕・植木鉢、常滑の街中でも見かける土管など、暮らしに密着したやきものとして発展してきました。2017年には「日本六古窯」として日本遺産にも認定され、歴史と文化の両面から注目を集めています。

 

関連記事|丹波、備前、信楽など、日本六古窯とその特徴について。

 

常滑焼の「見た目の美しさ」を形づくるポイント

 

赤褐色に発色する朱泥の色合い

常滑焼の大きな特徴は、知多半島で採れる鉄分を多く含んだ土です。この土を酸化焼成することで、赤褐色の「朱泥(しゅでい)」と呼ばれる色合いが生まれます。朱泥は真っ赤というよりも、少し落ち着いた赤茶色に近い色で、光の当たり方によって表情が変わります。急須や壺の丸みを帯びたフォルムと組み合わさることで、温かみのある柔らかな印象が生まれます。

 

無釉焼成が生む、素朴でなめらかな土肌

常滑焼には釉薬をかけずに焼き締める「無釉焼成」の作品が多く、土そのものの質感を味わえることも魅力です。釉薬のガラス質の光沢とは違い、光をやわらかく受け止めるマットな質感が特徴です。手に取ると少ししっとりとした手触りがあり、使い込むほどに表面が滑らかになり、色味も深くなっていきます。

 

ロクロ目やラインがつくるシンプルな造形美

常滑焼の急須や壺は、線や面が非常にシンプルです。ロクロで引いたときの「ロクロ目」と呼ばれる同心円状の筋、胴から注ぎ口へ自然につながるラインなどが、装飾に頼らない造形美を生み出します。

 

余計な装飾が少ないぶん、かたちのバランスが少し崩れるだけで印象が大きく変わります。だからこそ、わずかなカーブや角度まで計算しながら成形する必要があります。

 

急須でわかる常滑焼の「機能美」

 

お茶の味をまろやかにする焼締めと朱泥

朱泥急須は、「お茶がおいしくなる急須」として評価されています。鉄分を多く含む朱泥の土を無釉で焼き締めると、表面にごく細かい孔ができます。この微細な孔が、お茶の渋みや苦みの成分をほどよく吸着し、味をまろやかにすると考えられています。

 

また、蓋と胴のすり合わせ(蓋すり)を丁寧に行うことで、蓋がぴったりと収まり、お茶の香りを逃がしにくくします。このように、素材の特性と技術が合わさることで、「味わい」という見えない部分の美しさが生まれます。

 

注ぎやすさとキレを計算した形

常滑焼の急須は、横手の取っ手、注ぎ口、胴の丸みなど、すべてが「淹れやすさ」を前提にデザインされています。

 

  • 横手の取っ手は、少ない力で注げるよう角度が調整されています。

  • 注ぎ口は、お茶の「キレ」を良くするために、先端の開き具合や厚みが工夫されています。

  • 内側の茶こし部分は、茶葉がしっかりと広がり、目詰まりしにくいよう設計されています。

 

常滑市が指定する無形文化財「ロクロによる手造り急須技法」では、形態的な美しさと使いやすさを両立させた急須づくりが評価されています。

 

他のやきものと比べて見える、常滑焼ならではの魅力

日本各地には多くのやきもの産地がありますが、その特徴を並べてみると、常滑焼の個性がよりはっきりと見えてきます。たとえば美濃焼は、志野や織部などに代表されるように、釉薬の色や流れ、窯変による表情の豊かさが大きな魅力です。

 

有田焼は、白く緊張感のある磁器生地に、細やかな染付や色絵を施した華やかな器が多く、食卓を彩る「見せる器」としての側面が強くあらわれています。

 

信楽焼は、土の粒子感や自然釉の景色が前面に出ており、炎が生み出す偶然の表情を楽しむやきものとして親しまれています。

 

これに対して常滑焼は、赤褐色の朱泥と無釉の焼締めによって、装飾よりも素地そのものの質感や形の美しさが引き立つやきものです。土管や壺、甕、植木鉢など、古くから生活の道具として使われてきた歴史を持つため、「器としての働き」と「見た目の美しさ」が自然に結びついている点が大きな特徴です。急須ひとつを手に取っても、色彩や模様より先に、手に収まる感覚や注ぎやすさ、使い込むほど深まる艶といった要素が印象に残ります。

 

つまり常滑焼の美しさは、豪華な絵付けや劇的な窯変といった分かりやすい演出ではなく、素材とかたち、そして使い心地がじわじわと積み重なって生まれる「機能美」にあります。毎日の暮らしの中で何度も手に取り、少しずつ表情を変えていく姿を楽しめるところに、常滑焼ならではの深い魅力があります。

 

常滑焼の急須・壺をお持ちの方へ

常滑焼は、実用性の高さから大量に作られてきた一方で、人間国宝の三代山田常山をはじめとした名工の作品も多く、作家や時代によって評価が大きく変わります。

 

骨董品・美術品の買取専門店「ゴトーマン」では、常滑焼の急須や壺・甕、盆栽鉢などのご相談も受け付けています。常滑焼の美しさや機能美を感じられるお品をお持ちの場合は、「これはどのくらい価値があるのか知りたい」という段階でも、写真とともにお気軽にお問い合わせいただけます。

 

 

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