海外で人気で贋作も多い浮世絵。その価値を見極めるポイントには何がありますか?
浮世絵の価値を見極めるポイントをご紹介します。
浮世絵の見極め
世界的にも人気がある浮世絵は贋作が多く出回っているほか、真作であっても版によって価値が変わります。
価値を見極めるときはどのようなポイントに注意すればよいでしょうか。
落款・印章
絵画などと同じように、浮世絵には落款・印章が捺されています。
落款・印章は本物と偽物を見極める大きなポイントです。そもそも落款・印章がない、あるけれどデザインが違うといった作品は、絵本体がいかに本物らしく見えても贋作である可能性が高くなります。
作者・作品内容
浮世絵が本物である場合、誰のどんな作品かが重要になります。
有名な浮世絵師である葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の作品、なかでも「富嶽三十六景」や「東海道五十三次」などのシリーズは人気も価値も高くなります。
肉筆か版画か
浮世絵は一般的に木版画を指しますが、木版画ではなく筆を用いて絵師が自ら描いた浮世絵も存在します。
木版画で作られた浮世絵は何枚も刷ることができる、いわば「大量生産品」ですが、肉筆の浮世絵は「一点物」ですので非常に価値が高くなります。
作品の出来映え
浮世絵の原板は木でできているため、作品を刷るごとに版が摩耗していきます。
そのため、初期に刷られた作品は色や線が鮮明であるのに対し、後期に刷られた作品は線がぼやけたり、一部が欠けていたリします。
さらに、浮世絵は絵師が自分で刷るのではなく、摺師と呼ばれる職人が刷るという分業スタイルで作られていました。
そのため、初期に刷られた作品は絵師が仕上がりをチェックしていても、後期に刷られた作品は絵師がチェックしていないこともあるため、「色の間違い」「色の抜け」「位置ずれ」が起こった出来のよくない作品も出回っています。
初期に刷られた作品は価値が高くなりますが、後期に刷られた作品は価値がやや下がり、なかでも出来の悪いものは価値が低くなります。
まとめ
浮世絵の真贋や価値の見極めは、プロでも経験がないと難しいといわれています。
実際、昭和初期に「入札会に出品された浮世絵がすべて贋作だった」という事件も起こったそうです。
その反対に、経年劣化で落款が消えてしまった作品や、後期に刷られて出来のよくない作品は「贋作」と判断されてしまうこともありますので、浮世絵を購入・売却するときは、正確な知識と経験、審美眼を持った業者と取引を行うことがより重要といえるでしょう。