中国絵画で有名な山水画の代表的な作家・作品は?
中国山水画の代表作家とその作品をご紹介します。
山水画とは
一般的に山水画といえば思い浮かぶ、墨と水の濃淡のみで自然の風景を描いた水墨山水画は宋に入って盛んになった技法で、唐までは群青や緑青などを用いて彩色をする青緑山水画が主流でした。ここでは主に五代・北宋の水墨山水画の有名な画家についてご説明します。
水墨山水画は山河などの自然を題材にした絵画ですが、中でも中国の山水画は平遠、高遠、深遠の三遠法を用いて描かれ、実在する特定の場所ではなく、想像上の風景を描いているのがその特徴といえるでしょう。
中国山水画の五代・北宋期の代表的な画家には荊浩、関同、董源、巨然、李成、郭熙がいます。
荊浩(けい こう)
唐末・五代の画家
山水画といえば思い浮かぶ墨と水のみを使って山や水(河)などを描いた、水墨山水画を描いた初期の画家で、以降の山水画に多大な影響を与えました。
代表作には「匡廬図」(ぎょうろず)、「雪景山水図」があります。
関同(かんどう)
五代の画家で荊浩の弟子
シンプルな筆さばきによる雄大な山水画を完成させ、宋代の山水画に大きな影響を与えました。
代表作には「秋山晩翠図」「山谿待渡図」「関山行旅図」があります。
董源(とうげん)
五代・北宋の画家
淡い墨を重ねて江南地方の景色を描いた江南山水画の創始者で、麻の繊維をほぐしたように波打たせて山や岩のひだを描き、立体感を出した披麻皴(ひましゅん)という筆法を始めたとされます。
代表作には「瀟湘図巻」(しょうしょうずかん)、「寒林重汀図」(かんりんじゅうていず)があり、特に「寒林重汀図」は模写も数多く描かれています。
巨然(きょねん)
五代・北宋の画家、僧侶で董源の弟子
師匠の董源の画風を受け継ぎ「董巨」と称される江南山水画の代表画家ですが、確実な現存作品はありません。
今は台北故宮博物院に所蔵中の「層巌叢樹図」が巨然の作品と言われています。
李成(りせい)
五代・北宋の画家
淡い墨で霧を表現、夢幻的な雰囲気の煙林平遠という山水画を描いて、その画風を受けつぐ郭熙とともにのちの元時代の李郭派の始祖となります。
代表作には「喬松平遠図」(きょうしょうへいえんず)があり、日本の美術館などでも公開されています。
郭照(かくき)
北宋の宮廷画家、理論家
変化に富んだ自然の風景を写実感に満ちた壮大な画風で表現、李成と並んで「李郭」と呼ばれ、後世の山水画画家に多大な影響を及ぼしました。
代表作には「渓山秋霽図巻」「早春図」があり、中でも「早春図」は北宋を代表する現存する真蹟(しんせき・本人が描いた本物)の山水画で有名です。
まとめ
中国山水画の本物は少ない上に、現在中国では絵画を含む骨董品の一部は海外輸出に規制がかけられていて、日本で入手できないものがほとんどです。現在取引されている上記で紹介した代表的な作家の作品は、そのほとんどが模写作品となっています。