絵画の保管環境と額縁のメンテナンス方法について教えてください。
絵画の保管環境と額縁のメンテナンス方法についてご説明します。
絵画の美しさを保つために
絵画は非常にデリケートで、保管状態が悪いと短期間で色あせ、ひび割れ、絵の具の剥落を起こし、その美しさが損なわれてしまいます。
いつまでも美しい状態の絵画を鑑賞するためには、適切な状態で保管し、適度なメンテナンスを行わなくてはいけません。
絵画の保管環境
絵画の保管で注意しなくてはならないのは、特に「湿度」と「紫外線」です。
湿度
一般的に、絵画の保管に適した湿度は50~60%と言われており、湿度が極端に低く乾燥した状態では、絵の具のヒビ割れや剥落の原因となり、逆に湿度が高い環境では、絵が描かれている紙やキャンバスの歪み、カビの発生の原因となります。
日本の冬の湿度は、雪が少ない地域では絵画の保管に注意をしなくてはならない湿度になることはほとんどありません。ただ、保管場所で暖房と加湿器を使用している場合や、高温多湿になる梅雨の時期などは、こまめな換気や除湿機・除湿剤などを使って湿気をためない工夫が必要となります。
紫外線
紫外線、特に直射日光による強い紫外線は、紙の変色や絵の具の色あせの原因となりますので、カビの発生防止や調湿のために「虫干し」をするときは、日陰で行う必要があります。
また、室内に絵を飾った状態で保管するときは日光が当たらない場所に飾り、大きさなどの関係で窓から日が入る位置にしか飾ることができない場合は、紫外線カット機能付きのカーテンを閉めておく、紫外線カット効果のあるガラスを使うなどの工夫が必要です。
額縁のメンテナンス
絵画を入れる額縁は、絵画を保護するという役割だけではなく、絵画を周囲の空間と区切ることで一つの世界を作り出すという、絵画を引き立てる役割を持っています。
絵画のサイズや年代、タッチなどに合わせた既製品の額縁が使われていることもありますが、その絵のためだけにあつらえられた額縁の場合、額縁も絵画と合わせた「作品」となるため、絵画同様メンテナンスをしてあげてください。
額縁の掃除
額縁のメンテナンスの基本は、何といっても掃除です。
特に、室内に飾った状態で保管している場合は、埃や油膜などが付着しているため、こまめに掃除をする必要があります。
傷がつくのを防ぐため、はたきなどで埃などを落とした後、柔らかい布で乾拭きを行い、ガラス部分は専用クリーナーを使って、フレーム部分を拭かないよう注意しながら掃除します。
フレーム部分の水拭きは変色の原因となることがあるため、基本的には行いません。
額縁が破損した場合
歪み、がたつき、背面の反りなど、額縁が破損した場合は、そのままの状態で放置すると絵画の状態にも影響を及ぼすため、なるべく早く補修や交換を行わなくてはなりません。
ただし、自分で額縁の修理や交換を行うと、絵画を傷つけてしまう可能性があるため、絵画を守るためにも専門家に依頼することをおすすめします。
まとめ
適切な状態で保管し、適度なメンテナンスを行うと、いつまでも美しい状態の絵画を鑑賞できるだけではなく、手放すことになった場合、高値で買取りしてもらえる可能性も高くなります。
もし、お手元に絵画がありましたら、出来る限り作品が傷まないよう、保管をしてあげてください。