日本画の流派には、どのようなものがありますか?
日本画の主な流派について、ご紹介します。
美術番組などを見ていると、日本画の解説で「狩野派」や「琳派」といった言葉を聞くことがあります。これは日本画の流派のことです。では、具体的に日本画にはどのような流派が存在し、どのような特徴があるかをご説明します。
日本画の系統とは?
日本画には、大きく分けて「大和絵」と「漢画(唐絵)」の2つがあります。
「大和絵」は、王朝絵巻の伝統を引き継いだ様式で、平安絵巻や百人一首のような絵です。平安文学が画題として描かれることが多く、引き目鉤鼻の人物などが登場します。
一方「漢画」は、鎌倉時代に禅と共に伝わってきた水墨画が元となっています。
中国伝来の絵画ですので、画題も中国由来が多く、豪壮で格式ばった印象が武家に好まれました。
狩野派(かのうは)
テレビなどでよく耳にする狩野派は「漢画」の様式を代表する流派です。
室町幕府の御用絵師となった狩野正信を始祖とする狩野派は、室町時代中期(15世紀)から江戸時代末期(19世紀)まで、約400年にわたって活動していました。
漢画だけでなく、大和絵の技法や彩色法を取り込んだり、書院建築の内部装飾を手掛けるなど、時代と共に進化し続けてきた、日本絵画史上最大の漢画系画派です。
力強く躍動感あふれる作品や豪華絢爛な金碧障屏画など、ダイナミックな作品が有名です。
土佐派・住吉派(とさは・すみよしは)
土佐派は「大和絵」を代表する流派です。
14世紀南北朝時代の藤原行光を祖とし、室町時代のおよそ200年にわたって朝廷の絵所を世襲してきましたが、安土桃山時代ごろから狩野派の躍進を受けて衰退しまし、江戸時代になって再興を果たしました。住吉派は江戸時代に土佐派から枝分かれした流派で、土佐派の画風に加え、狩野派・琳派の技法を取り入れる表現手法を用いていました。
丁寧で繊細な作風が特徴で「百鬼夜行絵巻」などが有名です。
琳派(りんぱ)
桃山時代後期に興り近代まで活躍した流派です。
狩野派や土佐派には「家元」が存在し、弟子は模写をすることで師から直接画技を学んだのに対し、琳派には家元のようなものは存在せず、同傾向の表現手法が時代や身分を超えて断続的に継承されているという、類を見ない特色を持っています。
大和絵の伝統と漢画の技法を併せもっているため、狩野派と混同されがちですが、琳派は風景の一部を切り取ったような構図や一度塗った場所が乾かないうちに色をたらし、にじませる「たらしこみ」という技法を用いています。二つの面の屏風を二つ対に並べる二曲一双など、独自の技法とデザイン性を確立しています。
まとめ
日本画の主な流派「狩野派・土佐派、住吉派・琳派」についてご紹介しました。それぞれに、特徴や技法などが異なります。
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